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さわかみ投信株式会社の決算分析

 さわかみファンド保有者に対しては、純資産額に対して年0.9%の信託報酬率が徴収されますが、さわかみ投信株式会社における実際の経費率はどのような水準にあるのでしょうか?その答えに近づくには、さわかみファンドを運用するさわかみ投信株式会社の財務諸表に着目するのが、近道となります。
 しかし、さわかみ投信株式会社は非上場会社ですので、非上場会社の財務諸表は、通常は容易に入手することはできません。しかし、さわかみファンドの有価証券報告書には特別情報の一部として委託会社等の概況欄にさわかみ投信株式会社の財務諸表が掲載されます。2008年3月末決算から8ヶ月近くを経過した少々古い情報となりますが、さわかみ投信株式会社がどのようにファンド運用事業を営んでいるか理解するうえで、最良の資料といえます。
 例えば、冒頭のさわかみファンド運用に要した実際の費用率(エクスペンスレシオ)は、以下のように算出可能です。
さわかみファンド経費率2008年3月期
  インターネット上でもさわかみファンドの運用成果に満足していない投資家が増加している現状において、今回、まだら模様の投資生活サイトではさわかみ投信株式会社の2008年3月期財務諸表を徹底分析してみました。

さわかみファンドの実コストとさわかみ投信利益の関係

 さわかみファンド運用事業に要する経費率は、2008年3月期も前期とほぼ一致する0.43%を保持できています。言い換えると、さわかみ投信株式会社は、ファンド保有者から徴収した0.9%(税抜)の信託報酬のうち、運営に掛る費用として0.43%支出し、残る0.47%がさわかみ投信株式会社の利益になったといえます。
 従って、さわかみファンドとさわかみ投信の間には、概ね以下の関係式が成立し、さわかみファンド顧客とさわかみ投信株式会社とはどちらかが得をすれば、どちらかが損となる、利益相反の関係にあるのです。
 さわかみファンドとさわかみ投信関係式

純資産残高増加による事業効率化は未達成

 さわかみ投信株式会社の2008年3月期決算を見ての第一感は、純資産残高が増加しているにも関わらず、経費率(営業費用率、販売費および一般管理費率)が低下しなかったことです。ファンド運営事業自体の性格として、純資産残高が増加すると、収益は比例的に増加する一方、費用は比例的には増加しないため、規模の利益を享受できる事業と考えられますが、さわかみ投信では一服状態になっています。
 2008年3月期の営業費用、販売費および一般管理費の明細項目を見ると、増加が著しいのは「人件費」(前年比プラス1億円)と「その他費用」(前年比プラス6千万円)であり、固定費的な費用増加が効率化を圧迫しているようです。顧客からの注文受付インターフェイスが電話注文に限られるなど、人件費を変動費的に捉えた方がより実態を反映しているという意見もあるかもしれません。
 しかし、今期2009年度は、純資産残高が大きく減少し、さわかみ投信の収入減少は直ぐに反映する一方、人件費の削減は行うにしてもゆっくりとしか進まないため、固定費的要素と捉えておくべきでしょう。
 とすれば、このままの相場状況が続けば、さわかみ投信株式会社の2009年3月期決算は減収大幅減益となる可能性は高いでしょう。
 とはいっても、コストが収入の半分程度で済んでいるのは、うらやましい(恨めしい?)ものです。

投資有価証券に約2億円の評価損発生

 2008年3月期では、保有固定資産のうち、投資有価証券に約2億7百万円の評価損が発生しています。この投資有価証券とは、さわかみファンドのことであり、さわかみ投信株式会社はさわかみファンド設定時(1999年8月)から保有しています(元本373百万円)。但し、設定時の運用資産確保の意味合いが強く、基準価額下落時の下支え目的でないようです。
2008年3月期投資有価証券評価損の詳細
貸借対照表
借方貸方
投資有価証券△2億700万円
(7億1100万円
→5億400万円)
【負債】繰延税金負債
【資本】その他有価証券評価差額金
△9500万円
△1億1200万円

 さわかみ投信株式会社では、さわかみファンドの保有目的をその他有価証券に分類しているため、多額の評価損が発生していますが、損益計算書を経由せず直接にB/S純資産の部に反映しているため、さわかみ投信株式会社の利益には影響を与えていません。
現在の信用収縮状態において、金融商品の時価評価凍結が話題に上がっていますが、売買目的有価証券を保有しない企業には、ほとんど影響がないといえるでしょう。個人投資家も、金融資産の保有目的を今一度、見直してみるのも良いのではないでしょうか?短期売買目的で保有していないならば、評価損の増減で考えずに資産残高の増減で捉えた方がいいかもしれません。
 とはいえ、さわかみ投信株式会社もさわかみファンド下落の影響を受けているようですので、この際売買目的有価証券に目的変更して、評価損益にダイレクトに反映させると価格に敏感な、今の投資家の気持ちがわかってもらえるかもしれません。

前々期、前期に取得した自社株を全額消却

 さわかみファンドは1999年8月設定ですが、さわかみ投信株式会社は黒字化を達成した2004年3月期まで、一定の資本を確保する規制のために毎期増資を繰り返してきました。
 さわかみ投信株式会社が黒字化を達成した後に優先的に実行した財務政策は、増資資金を出資者に返還したことです。(2006年3月期1650万円(300株)、2007年3月期3億1750万円(2500株))。
 この増資引受人は100%親会社のさわかみ合同会社(=澤上さん)ですが、当該増資が金融上の規制に基づくものであり、さわかみファンド運用事業に絶対的に必要な資本ではなく、澤上氏も事業継続上、やむなく出資に至ったと推定されます。
 2008年3月期においては、既に買入済の自社株2800株を消却し、発行済株式数は6,400株から3,600株とさわかみファンド設定当時とほとんど変わらない水準となりました。財務諸表への影響は、以下の通り、B/S資本の部中心であり、損益には影響を及ぼしません。
2008年3月期自己株式消却の詳細
貸借対照表
借方貸方
自己株式△3億3400万円【資本】繰越利益剰余金△3億3400万円

さわかみ合同会社への高配当政策を維持

 さわかみ投信株式会社が自社株買いの次に行っている財務政策は、高配当政策です。前期2007年3月期の5億円配当に続き、2008年3月期も4億円を配当しています。(支払は2008年6月) 2008年3月期の当期純利益は6億6700万円ですので、配当性向は60%と非常に高い水準です。配当金支払先は先にもでてきた100%親会社のさわかみ合同会社であり、独自プロジェクト遂行のために子会社に高額配当を要求している構図が目に浮かびます。

純資産残高の変動に弱い収益構造

 資産運用事業は大資本を必要とする事業でないため、純資産残高さえ確保できれば、高収益が実現できます。さわかみ投信株式会社の総資産純利益率(ROA)は32.5%!、純資産純利益率(ROE)は何と60.7%になっています。
 しかし、収益が純資産残高に正比例するため、金融商品価格暴落リスクに対してはほとんど無防備といってよいでしょう。そのため、価格暴落時には、解約による資産減少加速を抑制する目的で、資産運用会社から臨時レポートが発行されるのです。臨時レポートは顧客資産を守るという観点よりも、運用会社を守る事業行動として、発行されていると考えた方がいいでしょう。
 市場が不安定だから、顧客利益を斟酌して、ファンド解約を勧める臨時レポートを未だに見たことがありません。

 投資信託による投資であっても、運用会社が何を行っているのか、可能な限り把握し、理解することも必要でしょう。


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