企業の資本効率と人的資本を考える |
|
企業の本質的な目的は元手資本(資本金)をもとに事業を行い、事業の中で得た回収余剰(収入額−支出額)を資本提供者(株式会社の場合、株主)に還元することにあります。
その事業活動の中で、企業は資本を効率的に活用することが求められます。なぜなら、資本は企業にとっても、投資家にとっても無尽蔵に存在するものでなく、有限だからです。投資家は良い事業を行なう企業を選別して、限られた資金を投じたいと考えるでしょう。 そこで、事業の本質的特性や資本効率の良否を測定するために、企業の公表された財務諸表などから、ROE(株主資本利益率)、ROA(総資産利益率)、ROIC(投下資本利益率)等の指標を算出して、投資家が求める利回りである資本コストなどと比較することも有用です。 企業の事業運営には一般的に「人」、「物」、「カネ」という資源を必要としますが、財務諸表には事業運営に一番大事な「人」に関する情報がほとんど計上されていません。従って、事業自体を評価する場合に、財務諸表本体をそのまま利用することは困難です。 この点について、かの橘玲氏の近著「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術」に人的資本の考え方が紹介されています。
当書の論点の中心は雇用者(サラリーマン側)から見た視点であり、雇用者はそもそもサラリーマン債券という資産を保有して、毎期の収入を得ているとの考え方ですが、今回の記事は企業側から見た「人を雇う」という意味を考えることにします。 財務諸表には人的資本に関する情報が無しまず、人的資本という言葉ですが、人的資本=人的資産−人的負債と考えることにします。すなわち、人的資産は企業内部に雇用している人財ストックであり、人的負債は人財ストック利用時に支払う人件費(人的費用)を意味します。人的資産を利用した場合には人的収益と対応する人的費用が認識、測定され、人的利益が計算されます。人的資本を貸借対照表、損益計算書の形式で表現すると、以下の通りになります。 ![]() 企業の事業運営における人材(従業員)の影響は甚大であり、事業価値の評価には欠くことができませんが、現行の財務諸表には以下の赤字の通り、積極的な開示は行なわれておりません。 ![]() 資本効率性を評価する上で最も致命的な点は貸借対照表に人的資産、人的負債が含まれていない点です。 例えば、ROICを算出するために分母とする使用資本を(有形固定資産+無形固定資産+運転資金)とする場合、「物」と「カネ」の資源は含めているのに、「人」が全然含まれていません。最も大事な「人」を含まない事業運営など考えられません。 従って、特に労働集約型産業のような人的資本を多量に使用する産業に関しては、現行の財務諸表でROIC、ROAなどの計数は企業実態に対し、相当の過大な数値となっている懸念があります。また、コンサルタントなど人財を主要資源とするサービス業なども評価は困難でしょう。 人的資産、人的負債をどのように反映させるべきかに関しては、実質上の企業価値評価に大きな影響を与えるといえます。 【PR】有用な財務分析情報の概欄にどうぞ! ブログランキングに参加中! ![]() ![]() |
この記事のトラックバックURL
http://takaamahara.blog85.fc2.com/tb.php/222-190ab9e3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック











