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株主管理コストを見積る

 近年、株主に対する配当金支払を増額する企業が相次ぎ、日本企業の配当利回りは約2%を超過する水準まで増加しています。また、貯蓄から投資へ(≒間接金融から直接金融へ)の大勢の中で、個人株主は増加傾向にあります。
 企業は株主に対して、株主総会開催、配当金支払、株主優待送付、事業報告書送付など、株主管理のために様々な事務を行っています。これらの株式管理事務を行なうには、当然ながらコストがかかることになり、最終的には株主が株主管理コストを負担しているのです。個人株主が増加すると、企業の株主管理コストはどの程度増加するのでしょうか?
 株主数増加による費用増加は既存株主、新規株主ともに平等に負担することになりますので、特に東証1部上場などを目的とした株主数増加施策を推進している企業については、
費用がどの程度増加するのか知りたいところです。
 ところが、株主管理に関わる事務は非常に多岐に渡るため、実務経験無しに全てを把握することは困難です。また、企業内部の事務手続きであり、一部事務を他企業(信託銀行、だいこう証券ビジネスなど)にアウトソースしていることもあり、通常は業務内容およびコストともに一般投資家には明らかとはなりません。
 しかし、企業内部で業務を行なわずに全てを外部に業務委託し、さらに業務委託契約の内容、および費用まで開示されている法人が存在しています。
 
 その法人とは・・・

不動産投資法人は全事務を業務委託している

 答えはJ-REITです。
不動産投資信託は倒産隔離のために法人組織となっていますが、従業員を雇うことができずに全てを業務委託することが法律上定められています。そして、J-REITは投資信託であるため、情報開示が一般企業と比べて進んでおり、他社への業務委託内容および費用が相当程度詳細に開示されているのです。
 企業における株主と投資法人における投資主では人数規模は異なりますが、事務受託者がともに信託銀行であり、事務委託契約内容およびコスト水準は大きく変わらないと考えられるため、株主名義管理コストはJ-REITの業務委託内容を適用することにしました。今回はJ-REITで一番規模が大きい日本ビルファンド投資法人(8951)の業務委託内容を参照することにします。(業務委託内容は有価証券報告書等に記載されています)

主な株主管理コストの種類

 株主管理コストの範囲としては、一時的、臨時的に発生する「住所変更」、「配当金口座振込」等の各種手続きや株主からの問合せなどの間接経費を除き、経常的な費用のみに限定すると株主管理コストとして、以下の3種類に大きく分類されます。
  1. 証券取引所への上場コスト

  2. 証券取引所に上場している企業は各取引所に年間上場料(システム使用料)を支払う必要があります。年間上場料は時価総額、および上場市場別(第1部、第2部)に区分されています。
     例えば上場時価総額250億円から500億円以下の東証1部上場企業は年間250万円となります。
  3. 株主総会開催コスト

  4. 年1回の株主総会開催場所確保の他、議決権行使書の作成・発送・集計など株主総会開催に必要な費用です。株主数増加につれて、総会会場の広さなどを考慮する必要も生じます。
  5. 配当金支払コスト

  6. 配当金領収書の作成・送付、配当金支払手数料などで構成され、配当金支払回数に比例して発生する費用となります。
それでは、各株主管理コストがどの程度の規模となっているのか、東証2部上場企業へ、目下東証1部への上場をために株主数増加施策を打っているSHOEI(7839)で推算することにします。

株主管理コストは株主数で大きく変動

 ショウエイは発行済株式総数14,452千株、平成19年9月末現在の株主数1,392人、時価総額270億円ですが、東証1部上場の株主数である2200人と比べてみることにしました。
年間株主管理コストの見積り
主要費目単価基準SHOEIの場合、100株当り単価
株主数
1,392人
株主数
2,200人
個人株主増加
限界費用
年間上場料250万円16.5円16.5円
名義管理料
(基本手数料)
960円1株主9.2円14.5円960円
実質株主管理
(保管振替機構)
600円1株主5.7円9.0円600円
株主総会
(議決権行使発送)
155円1株主1.4円2.3円155円
株主総会
(議決権行使集計)
135円1株主1.2円2円135円
配当金支払
(配当金領収書送付)
220円1回2.1円3.3円220円
配当金支払
(金融機関手数料)
40円1回0.3円0.6円40円
株主管理コスト合計36.4円48.1円2,110円

 上表記載の株主管理コストには各種通知に同封する封入物の作成費用も別途かかります。
100株当り36~48円程度と非常に低い計算値となりましたが、もちろん大株主の存在によりコストが平均化された結果です。個人株主1人増加に対する株主総会関連費用、配当金支払の増加は年2,000円程度と見込まれます。
 SHOEIの場合、現在のところ18万円(100株)で購入可能ですので、100株保有株主に対する株主管理コスト率は年1%を超過し、年間配当金(5800円予定)の実に30%以上を費消されていることになります。特に10万円以下のように少額の投資で単位株保有可能な銘柄については、株主管理コスト負担は著しく大きくなります。10万円の投資に対し、年2千円のコストは年2%の手数料を支払うことを意味するため、投資信託の方がずっと低コストなのです。低価格の株式はコスト的にも不利なのです。

中間配当、株主優待なし企業がベスト

 株主管理コスト節減の観点からは株主数は少なく、さらに中間配当や株主優待などを実施しない方が望ましいといえます。
 中でも配当回数の多寡は企業価値増加に影響しないため、中間配当を行なわない企業は株主コスト節減にも注意を払っているといえます。また、株主優待に関しても実施せずに現金配当として還元されるほうが望ましいですが、実施する場合でも各種通知に同封できる内容(金券類)であればコスト増加は最低限に納まるでしょう。
 題材としたSHOEIは中間配当や株主優待も行なっていないため、他の上場企業に比べるとして株主管理コストは少ないと想定されます。SHOEIは東証1部上場を目的として2007年12月31日基準で株式分割を行っていますが、所要の目的を達した後には、企業価値増加に寄与せず、コスト増加に繋がる株式分割は遠慮して頂きたいのが投資家の本音なのです。







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コメント
この記事へのコメント
コメントありがとうございます。
amormaiさんへ
 
 SHOEIは東証二部上場時もすぐさまJASDAQ上場廃止しましたし、交際費を年700万しか支出しない企業ですので、私も安心して保有させていただいております。直近は値上がりして買いにくくなりましたね。
2008/05/20(火) 23:36 | URL | あまはら #lawMbO2I[ 編集]
勉強になります
SHOEIの株主でもあるので、興味深く読ませていただきました。
配当時期1回というのはコストを節約にもなるのですね。
さすがに、無駄なお金を削減指向のSHOEIです。
早くて、秋以降に1部指定ということ、安定成長銘柄として 今後楽しみです。
2008/05/20(火) 19:25 | URL | amormai #mtimOyFk[ 編集]
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